はじめに、、、
Kさん、Nさん、はじめお力を貸して下さいた皆さん、本当にありがとうございました。
(また、この釣行記では釣場等の情報は「サラシ行為」にならないよう、敢えて一切省略させて頂いております。予めご理解の程、よろしくお願い申し上げます。)
私がこの魚を狙いだしたのは数年前、九州からだった。
以来、今回で11回目、昨年の「バラシ」からは四国に腰をすえて狙いだした。
先程まで「場所を移りましょう」と言っていた私の竿にクンッと当たりがあった。
ここで慌てない。。。
ここ半年以上の間に多摩川で頭に叩き込んだことを思い出す。
向うあわせでかけておき暴れる前に追いアワセを入れてしっかりかける。
私は今までアタリに過剰に反応してバラシを重ねてきた。
遠征先での少ないチャンスの中でそれは許されない。
ゆっくりと竿をずらすように、針をネジ込ませるように力強く動かす。手応えがあった。
あわせはきっちりはいったようだ。
「よしっ」と思った瞬間、いきなり、ドラグが今までにない勢いで回り出した。鱸では考えられない引き。。。
走られる覚悟はあった。ただ、走って走って根に廻られたくはなかった。竿を倒し角度をつけ止めにかかる、が止まらない。
まったくぜんぜん止まらない。
リールはカラカラとあいかわらず回り続け止まことはない。
「Kさん、きた!きました!!」
この言葉がこの時点ではじめて出た。
遠くの方でKさんは「え?」という顔をされている。
しかし、リールのハンドルを回さずに体を左斜めにぐにょりと曲げて怪しげなポーズをとっている私を見て何が起こったかが一瞬で分かった様子。
「アカメか?」「アカメです。」この会話はなかった。
Kさんは自分の釣りを急いで切上げて下さり私の元に駆け寄ってきて下さった。
おおっという感じのKさんの顔と不細工な表情になっているに違いない私の顔が一瞬向き合う。
「デカそうやな!」
「そうでもないです。」
余裕とも強がりとも先にかけてしまって申し訳ないともとれる言葉が口をついて出る。
リールは相変わらず鳴っていたが音はキリキリと絞り出すようなものに変わっていた。
「バラすなよ。慎重にやれ」
「とりあえず追いアワセをガッチリ入れといたんで大丈夫やと思います。」
私は暗い水面を見ながら竿に伝わる感触を耐え、そう答えたていた。
「気にせずそのままつづけとけ。」
Kさんは私の腰のあたりに手を回しながらそう言うと私のギャフをスッと抜いて下さった。
ここで私は初めて落ち着くことが出来たと思う。
「取り込むためには、ここでは・・・」と思い小走りに走り出す出す私。
合わせてくださるKさん。
「一度沖に出して十分に弱らせてから寄せろ!大体寄せる時に失敗するんや。まず、弱らせろ。」
Kさんのアドバスがとぶ。
この言葉を私より先に聴いたのか、魚の動きがピタリと止まる。
あまりに急な変化に一瞬嫌な予感が頭をよぎる。竿を軽く動かし感触を確かめてみる。
大丈夫そうだ。
このドキドキで私の腹は決まった。
空気を吸わせて弱らしちゃる!!ラインのテンションはそのままに、竿を少し上に上げた。
顔は冷静を装ってはいたかもしれないが、左足はガクガクと震えていた。
とたんに魚は動き出し、水面に躍りだした。
エラを洗っているのではなく、ブ厚い体高の魚が全身を曝け出して躍っている。
シャープで洗練された閃光の様なヒラスズキのエラ洗いと違い、ただ圧倒的な迫力を見せつけるようなエラ洗い、いやテールウォーク、それがアカメのエラ洗いだった。
その光景をぼーっとみている私をリールの音が現実に引き戻してくれた。
再び止まらない。。。
これだけ暴れまわっているのにこの勢い。。。
正直に自分の認識の甘さを実感し、時間をかけて取り込もうと思いなおした矢先、また急に魚は止まった。
ラインテンションを保つためリールのハンドルを回す。回る。
もう一回転。回る。また、もう一回転。回る。
竿が弧を描きながら思惑とは逆に魚との距離はどんどん縮まる。
あれれ・・・と思いながら惰性でドンドン巻いてしまう。
と、スグ手前で魚が跳ねた。
ここまで近くに寄せてた!?完全に冷静さを失って距離の憶測を誤っていた。
ヤバイ・・・と、思った時、取り込む準備していて下さっていたKさんが魚に駆け寄る。
「タイミング合わせて!!」とKさん。
竿を曲げリールを巻き魚をタイミングに合わせるように調整する。
再び魚が見えた。
Kさんがギャフを振るう。
人と魚、水と暗闇が混ぜこぜになりながらギャフ先が光る。
やったー!!!
ギャフ先はこの魚のほぼ唯一柔らかい部分である下アゴの下に完璧に刺さっていた。
戦果に頭が真っ白になって呆然とする私。
自分の気持ちをころして写真のポーズなどをてきぱきと指示してくださるKさん。
「おめでとう」と声を掛けて下さり写真を撮りやすいようにライトを集中させてくれる地元や遠征組の釣り人の方々。
狙っていた魚を釣ったことより、皆さんのありがたさに再び頭が真っ白になる私。
「Nさんに知らせようか?」
Kさんのこの言葉でようやく現実に戻れた。
これがこの魚を上げた時の様子です。
ちなみに、Kさんは関西の方で、昨年の夏、釣り場で知り合ってお会いするのは2度目。
共に、同じ魚を目指す同志であり先生です。
本当にありがとうございました。
※レポート:けーきさん
※参考:Suhara’s Fishing Note