出勤途中の荒川にかかる橋から見える煙突。
その煙で風を知る。
冬のあいだは北からの風が多く、その煙も煙突の出口から真横に流れるケースが多かったが、このところ南向き。正確には風向は流れてくる方向であらわすから北向きの南風が多くなった。
凪の日は当然煙突から煙が真上に上がるから、そんな日は少し嬉しくなる。
そんなヨロコビを感じる煙突は他にもあって、その昔、横須賀方面に船を置いていた頃は早朝及び夜間に船に乗るため湾岸線を走ると、高速沿いの煙突の煙が風を知らせてくれた。今の東京湾奥と違って横須賀の海は出るとすぐに風の影響を受けるから、この煙突の煙はその日の釣果を左右する重要なサインだった。
今となってはなにも煙を見なくても水面を見れば風向きがわかるようになったが、手前船頭駆け出しの頃は現場の風向きを知るためにポイントの手前で船を止めて、いちいち濡れた指を天にかざさないと風向きがわからなかった。一緒に乗る師匠に「どうして船を止める前から風向きがわかるの?」と聞くと、「水面をみりゃわかるだろ?」とぶっきらぼうに答えられただけだったが、今、ヒトに教える立場になるとぶっきらぼうになってしまう。だって説明のしようがないんだもん。
そんなこんなで今日は凪。
少しワクワクの船出でした。

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